Lesson2-4 色から受ける心理的効果

このレッスンでは、人が物をみたときの、色から受ける心理的効果について学びます。

「色から受ける心理的効果」と聞いて、
思い当たることが多い人もいるのではないでしょうか。

例えば、暑い夏は涼しげなブルーやホワイトのシャツを着たり、
大切な商談があるときはスマートに見えるよう、
濃い色のスーツを選んだりするものです。

これは、色がもつ雰囲気から感情として人が受けるもの。

アメリカの大統領選では、赤いネクタイを使うことが多いようです。
それは、人は赤からパワーや情熱などを感じるからでしょう。

このように、色から受ける心理作用は、
ビジネスシーンなどでも多数取り入れられています。

ここでは知っておきたい色の心理的効果について、
細かく解説していきたいと思います。

やわらかい/硬い

色のやわらかさ、硬さは、明度に関係します。

パステルカラーはやわらかい印象があり、
女性的な雰囲気を出しやすい色です。

またベビー用品などは、いわゆる「やわらかい色」が多いですが、
やはり明度が高い淡い色です。

一方で、明度が低い濃い色は、硬く堅実的な雰囲気があり、ビジネスで着るのに適しています。

派手/地味

派手・地味には、主に色の彩度が関係しています。
鮮やかで明るい色を人は派手に感じ、くすんだ暗い色を地味に感じます。

また色相も多少は関係していて、
暖色系の色を派手、寒色系の色を地味に感じるような傾向があります。

しかし、暖色系でも彩度が低ければ地味に、
寒色系でも彩度が高ければ派手に感じますので、
一概には当てはまりません。

↓派手感のある色

↓地味感のある色

興奮/沈静

色によって感じる興奮と鎮静は、色相と彩度に関係します。

暖色の高彩度色は、一般的に人を興奮させる働きがあり、
寒色はほとんどが鎮静させる働きがありますが、
彩度が低い方が、より鎮静感があります。

例えば、高彩度の赤、赤紫、橙、黄などの色は興奮させ、
低彩度の青、緑、グレーなどは鎮静させます。

↓興奮させる色

↓鎮静させる色

強い/弱い

強い・弱いは、色相、彩度、明度いずれも関係しています。

色相では、暖色系の色が強く、寒色系の色が弱く感じます。

しかし、暖色系で低彩度色(スモーキーな赤など)、
寒色系で高彩度色(鮮やかな青など)では、寒色系で高彩度色の方が強い印象です。

高彩度色(派手な色)、低明度色(暗い色)は強い印象を、
低彩度色(地味な色)、高明度(明るい色)は弱い印象を与えます。

↓強い色。力強い印象を与える。無彩色では黒が強く、白は弱い。

↓弱い色。やさしい感じ。

軽い/重い

黒などの濃い色を着ていると、重たく感じた経験はないでしょうか。

軽い・重いは明度と関係があり、
明るい色(高明度色)は軽く、濃い色(低明度色)は重い印象を与えます。

コーディネートするときに、
ボトムスに濃い色を合わせると安定感を出せます。

トップスに濃い色を合わせると、
躍動感のある印象になります。

インテリアでは、高い位置に明るい色、低い位置に濃い色を使うと安定します。
天井に濃い色を使うと、圧迫感のある部屋になってしまいます。

↓軽い色。無彩色では白が軽い。

↓重い色。無彩色では黒が重い。

膨張/収縮

同じものでも、色が違うと大きく見えたり小さく見えたります。
また同じデザインの服でも、色が違うと太って見えたり痩せて見えたりします。

大きく見える色を膨張色、小さく見える色を収縮色と言い、
明度と関係があります。

高明度が膨張色、低明度色が収縮色となります。

↓AとBは同じ大きさだが、Bの方が明度が高いので大きく見える。

人が記憶する色

春に咲くソメイヨシノを見て、
「思っていたより白いな」と思ったことはありませんか?

人は色を記憶するときに、
実際の色よりもその物自体のイメージに近い色を記憶します。

桜の色はより鮮やかなピンク色に、空の色はより鮮やかな水色として記憶します。

記憶の色を「記憶色」と言います。

また日本人は、肌の色を記憶するときに、
一段階明度を上げて記憶する傾向もあるようです。
それは、白い美肌への憧れからかもしれません。

そのため、同じ物や人を再び見ると、
記憶した色とは異なり違和感を覚えてしまうことがあるのです。


このページでは、色から受ける心理的効果について学びました。

日常生活の中で、
なんとなく気がついていたこともあったのではないでしょうか。

このように理論的に色について学ぶと、
コーディネートの際に自信を持って選ぶことができるようになります。

人がカラーコーディネートをするとき、
そこには必ず目的があります。

例えば「痩せて見せたい」「仕事ができる印象を与えたい」
「軽やかに見せたい」・・・などです。

このようなときに、ぜひ今回学んだ心理的効果を応用してみてください。

レッスン3からはいよいよ、
パーソナルカラータイプについて解説していきます。