色を正確に伝えたり記憶したりするためには、標準となるものさしが必要です。
色を一定のルールのもと、数字やアルファベットなどで表す方法を「表色系」と言います。
表色系はさまざまなものがありますが、このレッスンでは特に一般的である、
「マンセル表色系」と「PCCS表色系」の二つを取り上げて解説していきます。
パーソナルカラーを学ぶための基本的な知識として、
この代表的な表色系をしっかり理解しておきましょう。
マンセル表色系

マンセル表色系は、20世紀初頭にアメリカの美術家・美術教育家である
A・H・マンセルが考案した表色系です。
マンセル表色系は世界に通用する表色系であり、
パーソナルカラーでもマンセル表色系に対応できる知識が必要となります。
この表色系は、色を色相、明度、彩度の「色の三属性」で表すものです。
マンセル表色系の表記方法について詳しく見ていきましょう。
色相=Hue(ヒュー)
マンセル表色系では、色相をHueと表します。
主要5色相である赤、黄、緑、青、紫は、
英語の頭文字を取って下記のようにアルファベットで表示されます。
- 赤:R
- 黄:Y
- 緑:G
- 青:B
- 紫:P
さらにその中間に次の5色を配置。
- 黄赤:YR
- 黄緑:GY
- 青緑:BG
- 青紫:PB
- 赤紫:RP
これらを合わせて10色相を、このマンセル表色系では定めています。
さらに、各色相を10分割し、時計周りに1〜10まで番号を割り当て、
全て合わせると100色相となります。
※マンセルの色相は最大100色相ですが、
上の色相環のように5、10のみを取り出して20色相で表すこともあります。
明度=Value(バリュー)
明度はValueと表し、黒を明度0、白を明度10として11段階に分けます。
しかし、実際には明度0と明度10は見ることができないため、
黒が1、白が9.5までの範囲で設定されています。
彩度=Chroma(クロマ)
彩度はChromaと表します。
無彩色を0とし、彩度が高くなるほど数値も上がります。
彩度の最高値は色相によって異なり、
例えば、赤の最高値は14、青緑の最高値は8となります。
マンセル表色系の表記の見方
それでは実際にどのように表記するのでしょうか。
マンセル表色系では、Hue、Value、Chromaの頭文字を用いて
HV/Cで一つの色を表します。
「5R 4/14」の場合
この場合、読み方は5アール4の14です。
- 色相=5R(赤の中心)
- 明度=4(中くらいの明るさ)
- 彩度=14(赤の最高彩度)
つまり、5R 4/14は、純色の鮮やかな赤であることがわかります。
PCCS表色系
PCCS(Practical Color Co-ordinate)は、
一般財団法人日本色彩研究所が開発したもので、
日本のオリジナルの表色系です。
PCCSはHue(=ヒュー、色相)と、明度・彩度をまとめた「トーン」を用いて表すのが特徴。
ヒュー・トーン・システムと呼ばれることもあります。
PCCSは色をイメージしやすく、配色を考えやすい表色系なので、
国内ではデザインの分野などでよく使われ普及しています。
〈PCCSの色相環を作成してここに入れてください。〉
色相
PCCSの色相環は、基本の赤、黄、緑、青を中心とし、
全体で24色相で構成されています。
明度
黒を1.5、白を9.5とし、0.5きざみで17段階に分けられていますが、
実際には1.0、2.5、3.5、4.5〜9.5の9段階で表されることも多いです。
彩度
無彩色を0s、純色を9sとし10段階に分けて表されます。
トーン
PCCSでは、明度と彩度を合わせた複合概念である「トーン」で色を表します。
トーンでは色を表現するとき、色の明るさや鮮やかさといった印象から
「淡い」「ビビッド」「暗い」といったように表現することができ、
色をイメージするのに役立ちます。
トーンは、有彩色12種、無彩色5種の分類です。
〈PCCSのトーンイメージを作成してここに入れてください「新しいパーソナルカラーの教科書P105」&図書館の本「パーソナルカラーの教科書p 153」&役に立つパーソナルカラーP101参照〉
トーンの一般的な感情表現
- ビビッド・トーン:冴えた、鮮やか
- ブライト・トーン:明るい
- ストロング・トーン:強い
- ディープ・トーン:濃い
- ライト・トーン:浅い
- ソフト・トーン:やわらかい
- ダル・トーン:鈍い、くすんだ
- ダーク・トーン:暗い
- ペール・トーン:薄い、淡い
- ライトグレイッシュ・トーン:明るい灰みの
- グレイッシュ・トーン:灰みの
- ダークグレイッシュ・トーン:暗い灰みの
PCCS表色系の表記の見方
それでは上記で学んだことのまとめとして、PCCSの表記の見方を確認しましょう。
PCCS表色系では、「色相-明度-彩度」の順に表記していきます。
2:R-4.5-9Sの場合
- 2:R=24色相の2番(赤)
- 4.5=明度(中くらいの明るさ)
- 9S=彩度(純色)
つまり、2:R-4.5-9Sはもっとも好彩度の赤(純色)を表しています。
2:R-4.5-9Sは、トーン記号ではv2と表示することも可能。
ビビッドトーンの略記号「v」と、色相番号の「2」を合わせたものです。
色の表し方として、世界で通用する「マンセル表色系」と
国内で広く普及している「PCCS表色系」について詳しく学びました。
色相、彩度、明度、そしてPCCSではトーンも加えて色を表すことで、
伝えたい色を明確にすることができ、
また色のイメージをとらえやすくなることがわかりましたね。
次のレッスンは、「配色の基本とコツ」についてです。